戦士のズル休み | 上司にもらった靴下の話



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2011.08.23

上司にもらった靴下の話

少々口煩い上司というのはどこの職場にもいらっしゃると思うが、

その50代の上司も重箱の隅を突く様な事ばかり言ってくる、

嫌いとまではいかないが苦手な上司だった。

周りの同僚でも「あ~あの人嫌いだわ」という人も実際いたほどだ。

彼が「緊急ミーティング」とか言い出すと、

「またあれこれ言われるんだろうな~」とため息が出た。

朝からいきなり会議室に呼び出されて説教されたこともあった。

「ああもう、いい加減うざいよ」と思うこともあった。

 

しかし徐々にではあるがそういうことも少なくなり、

その上司も自分の仕事のみに没頭されるようになった。

人柄もなんだか丸くなってきたように感じた。

 

それからさらに数か月、

会議の時とかもボーッとされることが多くなった。

口煩かった以前とはまるで別人のようだった。

 

そんなある朝、

その上司から声をかけられた。

手には赤い紙袋が。

「これ、あったかいから。これ履いてがんばってくれ」

靴下だった。

突然のことにキョトンとなった自分は

「あ、はぁ、どうもありがとうございます」

なんでまた急に、と思ったが、

有難くその赤い包みを受け取った。

 

それから暫くしてその上司は長期休暇をとって入院、

数か月後に帰らぬ人となった。

詳しくは書かないが治療が困難な難病だったそうだ。

 

ご本人が知らされていたかどうかはわからないが、

自分の中で悟られていたのだろう。

どんな思いを託されたのか。

それに応えるために自分は何をすべきなのか。

赤い包みがその手に重くのしかかるように感じた。

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この記事へのコメント
こんにちは。喜劇王チャップリンの言葉に「人生はアップで見ると悲劇だが、ロングショットではコメディだ。」と言うのがありますが、過ぎてみると、辛いことのほうが、自分の中に、残っていたりしますね。
Posted by 砂まじりの茅ヶ崎 at 2011.08.24 14:12 | 編集
こんばんは。
私も苦手な上司、苦言を言う先輩がいました。
その時は「嫌だなぁ」と思いましたが、仕事に慣れ
何年か経過し、自分の立場が変わったりすると、
言葉の意味がわかるようになりました。
「あの時、素直に聞いていればなぁ」と後になって
先輩の忠告を思い出したりしました。

出会う人すべてといい関係が作れるわけではないですが、
人ってどこか重なってつながっていくものなんでしょうね。
Posted by ウィンド at 2011.08.24 23:19 | 編集
>砂まじりの茅ヶ崎さん
楽しかったことは「あの頃は良かったなあ」と漠然とした記憶しか残らないですが、
身内の死、挫折、失恋…
辛く悲しいことは10年以上経っても鮮明に記憶に残ってしまいますね。
Posted by らす at 2011.08.25 04:26 | 編集
>ウィンドさん
仰る通りだと思います。
自分も今の職場でも後輩が増えてきましたが、
言いたいことがあっても嫌われるのが嫌なので、
自分の中で押し殺したりとか…
そういうこともありますね。
Posted by らす at 2011.08.25 04:35 | 編集
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まとめ